皆さんは「トコジラミ」という害虫の名前を聞いたことがあるでしょうか。近年、メディアでトコジラミに関する報道が増え、多くの人がこの小さな害虫に対して不安を感じています。
特に通販で衣服を購入したり、旅行から帰ってきた後に「もしかして衣服にトコジラミが付着しているのではないか」と心配になる人も少なくないでしょう。
「とりあえず洗っておこう」と洗濯によってトコジラミの予防対策を実施している様子をSNSなどで見かけますが、洗濯だけではトコジラミは死滅しません。
トコジラミは生命力の強い害虫であるため、対策するためには彼らの弱点を狙わなければなりません。
当記事では「衣服のトコジラミ対策」というテーマで、適切な予防方法を解説します。安心して生活するために、ぜひ実践してみてください。
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寝具や衣服につくトコジラミ
トコジラミは「南京虫」と呼ばれており、南京前や南京錠と同様に外国から渡来した生物です。
日本では1970年代に絶滅していたと言われる害虫ですが、近年になって再び海外から持ち込まれ、生息範囲を広げています。
特に都市部での被害報告が増えており、東京保健医療局への相談件数は20年前に比べて10倍以上に跳ね上がっているほどです。
トコジラミが寝具や衣服につく理由
トコジラミは夜間に活動して寝ている人間を襲って血を吸います。寝具周辺は身を潜めることができて毎晩食事にもありつけるため、彼らにとって理想的な生活環境なのです。
またトコジラミは衣服に付着して人間の移動を利用しながら、生息範囲を広げます。
そのため不特定多数が利用する宿泊施設や交通機関を利用した際や、通販サイトで購入した衣服が自宅に到着した時には、トコジラミを持ち込まないように特に注意が必要です。
トコジラミの被害
トコジラミに刺されると、刺された箇所が赤く腫れ上がり、激しいかゆみが起こります。
そのかゆさは蚊の数倍とも言われており、しかも症状が1週間以上も続きます。不眠症や精神疾患になるほどの症状なので世界中の人々から恐れられている害虫です。
トコジラミは洗濯では死なない
トコジラミは強力な繁殖能力を持ち、一度大量発生すると駆除が非常に難しくなります。このため早期に発見し、予防的な対策を講じることが極めて重要です。
トコジラミの予防対策でよくある誤解が「衣服を洗濯すれば大丈夫」というものです。溺死させて駆除ができると考えがちですが、この方法ではトコジラミは死にません。
「トコジラミが洗濯では死なない」という事実は(一財)日本環境衛生センターの皆川恵子氏によって実験された「洗濯洗剤のトコジラミに対する致死効果の評価」によって明らかになっています。
衣服についたトコジラミを市販の洗剤に浸して浸水時間と致死率を調査したところ、下記のような結果となりました。
- 洗剤に5分間浸水すると
100%のトコジラミが動かなくなる - しかし、24時間後には
全てのトコジラミが活動を開始した - 2時間浸水しても80%の致死率しかない
- トコジラミを完全に致死させるためには
6時間以上の浸水が必要
浸水時間 | 致死率 |
---|---|
5分 | 0% |
30分 | 3.3% |
60分 | 33.3% |
120分 | 78.9% |
360分 | 100% |
なお、水道水の場合は24時間浸してもトコジラミの致死率は0%だったといいます。
洗浄時間や水道水でのすすぎを考えると「洗濯ではトコジラミを致死させることができない」ということがわかります。
水に浸かったトコジラミは一時的に不動状態になるので「洗濯で死んだ」と判断されがちですが、ゾンビのように復活するので間違えないようにしましょう。
ファブリーズのトコジラミへの効果は?
消臭剤として人気の「ファブリーズ」には除菌成分や界面活性剤が含まれており、これが「トコジラミに効く」と認識している人がいますが、忌避効果も殺虫効果もありません。
洗濯対策と同様に、こちらも間違った予防対策です。
トコジラミの弱点とは
トコジラミは世界中の昆虫学者によって研究がされており、その弱点が明らかになっています。
- 熱に弱い
- 紫外線に弱い
- 衝撃に弱い
最も効果的だと言われているのが熱による処理で、成虫に54.8℃の熱を与えると、わずか0〜1分で死滅します。
また、紫外線の照射もトコジラミの生存率と宿主を探す能力に悪影響を与えることが実験結果として発表されています。
レイコップPRO2は、65℃の温風を生成するPTCヒーターを備えたふとんクリーナーです。UVランプ、たたき機能、吸引機能により99.9%の除菌・ウイルス・ダニ除去を実現しています。公式サイトではトコジラミ対策について言及はされていませんが、トコジラミの弱点である高温風を発するクリーナーは一定の予防効果につながると考えられます。
衣服のトコジラミ予防方法
トコジラミの予防で効果的なのが「熱」を利用した方法です。比較的簡単に対策ができるのでネット通販で衣服を購入した際や、旅行から帰宅した際に試してみてください。
- 熱湯に浸して予防する
- 乾燥機で予防する
- アイロンを使って予防する
熱湯に浸して予防する
衣服を熱湯に浸すことにより、トコジラミを効果的に殺すことができます。卵まで駆除することを考えると60度以上の熱湯に約10分以上浸すことが推奨されます。
乾燥機で予防する
乾燥機を使用する方法もトコジラミが高温に弱いという特性を利用したものです。
コインランドリーに設置されている一般的な乾燥機の温度は、60度〜70度に設定されているため、10分ほどで予防処理が完了します。
熱湯処理ができない大型の寝具などは乾燥機の使用が便利です。
シャープのドラム式洗濯乾燥機「ES-S7H」は、コンパクトながらも機能性に富んでいます。
真下排水対応で、狭いスペースにも設置が可能。洗濯槽と乾燥ダクトの自動お掃除機能が付いており、清潔に保つことができます。
プラズマクラスター機能で衣類の除菌・消臭も可能。デリケートな衣類向けの「おしゃれ着コース」や「時短コース」も搭載しています。さらに、省エネセンサーや低騒音設計などの機能もあり、効率的で快適な洗濯体験を提供します。
アイロンを使って駆除する
アイロンを使って直接的な熱で処理するのも有効です。ハンディタイプの衣類スチーマーを使えばハンガーにかけたままで熱処理ができるので非常に便利です。
コードレスタイプのスチーマーなら、アイロン台を用意しなくてもハンガーにかけたまま使えるので便利です。トコジラミ対策だけでなく、おしゃれ着のシワ伸ばしにも使えるのでオススメです。
>>熱でトコジラミ対策!ティファール|コードレススチームアイロン DV7530J0
熱に弱い衣服はどうやって予防する?
熱湯処理や乾燥機など熱をつかった予防をおこなう際には、必ず衣服の洗濯表示タグに表示されている注意事項を読んだ上で実施してください。特にポリエステルなどの素材は乾燥機の熱によってシワや縮みが起こる場合があります。
その場合は紫外線照射や掃除機での吸引を試してみてください。掃除機での処置は「バキューミング」とも呼ばれ「トコジラミと効果的な防除法(厚生労働省)」でも有効な対策として紹介されています。
その掃除と紫外線照射を同時にできるのが、レイコップから発売されている「NewStyle RAYCOP」です。
元々はふとんクリーナーとして販売されていますが、吸引+UV照射機能を備えており、衣服のトコジラミ対策にも有効な手段であると考えられます。
重量は約1.4kgで片手でも楽々使うことのできるコードレスタイプでありながら、ブラシレスDCモーター採用によって強力な吸引力を実現しています。「NewStyle RAYCOP」はトコジラミ対策の頼れる武器になるはずです。
衣服のトコジラミ対策まとめ
衣服に付着したトコジラミは洗濯だけでは死滅しないため、他の方法で駆除や予防対策が必要となります。
トコジラミの弱点のひとつは「熱」で、熱湯や乾燥機、アイロンなどの活用が予防には効果的です。
しかし熱に弱い素材もあるため、紫外線照射ができるクリーナーを利用するのも一つの方法です。
トコジラミは駆除が困難な害虫であるため、しっかりと予防対策をおこないましょう。
この記事を書いた人
当サイトでは筆者が害虫や害獣に関わってきた知見をもとに、その駆除・予防などに役立つ情報をお届けしています。図解やイラストなども交えてわかりやすく解説することを心がけております。厄介な害虫獣に困っている人に対して、解決の一助となりましたら幸いです。